家庭学習と保護者

通信教育が続かない原因はどこにあるか

通信教育がたまるのは意欲の問題ではなく、量・時間・難度・終わりの見えなさという設計の欠落です。原因を4つに切り分け、月単位で届く教材を週と日に割り直す手順、たまった分の処理、やめてよい場合の基準までまとめました。

公開 更新 カテゴリ 家庭学習と保護者 読了目安 約9分

この記事について

こんな方に向けています
通信教育を始めたが教材がたまってしまい、原因と対策を知りたい保護者
読み終えたときの状態
続かない原因を特定し、量・時間・関わり方のどれを変えるかを決められる状態
当サイトはアフィリエイト広告を利用しています。 広告掲載ポリシー

封を切っていない教材が2か月分たまっています。声をかけると「あとでやる」と返ってきて、週末にまとめてやらせようとすると機嫌が悪くなる。押し切ってやらせた日は、こちらも疲れて後味が悪い。そうしているうちに、翌月の号がまた届きます。

この状態になると、まず疑われるのは子どものやる気です。ただ、やる気を原因にすると、打てる手が「声かけを強くする」しか残りません。強くすればするほど教材が嫌なものになり、たまる速度は上がります。

続かなくなっている家庭には、たいてい設計上の欠落があります。1回にやる量が決まっていない、やる時間が決まっていない、難度が子どもの現在地とずれている、終わりが見えない。この4つのどれか、または複数です。通信教育は「毎月まとまった量が届く」形式をとりますが、これは配送と課金の都合による単位であって、子どもが1日に処理できる量とは関係がありません。届いた形のまま消化しようとすれば、量が過大に見えて手が止まります。

続かない原因を教材の形式(タブレットか紙か)に求めたくなる場面もありますが、形式で差が出るのは採点の速さや記録の残り方など限られた部分です。その整理はタブレット教材と紙教材で違いが出る場面で扱っているので、ここでは量・時間・難度・終わりの4点に絞ります。

続かない原因は4つのどれかに当てはまる

原因を分けずに対策すると、量が多いだけの子に難しい単元をやり直させたり、時間が決まっていないだけの子の教材を減らして物足りなくさせたりします。まず、どれに当たるかを見分けてください。

原因の類型 家庭で出ている様子 見分けるための確認 最初に変えるところ
量が多い 教材を開いた時点で顔が曇る。始めるまでが長い 「このページだけ」と区切ると最後までやる 1回分の量を減らす。ページの途中で切ってよい
時間が決まっていない やる日とやらない日が混在し、週末にまとめようとする 先週どの曜日にやったかを親子とも思い出せない やる時刻ではなく、直前にやっている行動を起点にする
難度が合っていない 始めるが途中で止まる。答えを写す。逆に、速いが雑 手が止まった位置に共通の単元がある 号やコースの選び直し、前学年の内容に戻る
終わりが見えない 取り組んではいるが達成感がない。残量を誰も把握していない 「あとどれくらい残っている?」に親子とも答えられない 1回・1週・1号の3つの終わりを決める

見分ける順番は、量、時間、難度、終わりの順にしてください。前の2つは家庭側だけで変えられて、変えた翌日から結果が出ます。後ろの2つは、子どもの取り組みを何度か観察しないと判断できません。

複数が同時に起きていることもあります。その場合でも、変えるのは1つずつです。2つ同時に変えると、どちらが効いたのか分からなくなり、次に同じ状態になったときに再現できません。

なお、通信教育に限らず家庭学習全般で毎日の開始そのものが定着していない場合は、教材の割り方より先に開始条件を直すほうが早く進みます。その手順は学習習慣がつかないときに最初に見直すことにまとめています。

月に届いた量を、週と日に割り直す

通信教育がたまる家庭の多くは、月に届いた教材を月のまま扱っています。月は単位として長すぎて、遅れが可視化されるのが月末になります。月末に気づいた時点では、残量が多すぎて取り返せません。

割り直しは次の順番で行います。

  1. 今月分の総量を数えます。ページ数でも回数でもよく、単位はどちらかにそろえます
  2. 提出物や添削の締切があれば、それを月内の固定点として先に置きます
  3. 今月、実際に学習に使える日を数えます。習い事、行事、下校が遅い日、体調を崩しがちな時期を引きます
  4. 数えた日数から、さらに週に1〜2日を予備日として引きます。予備日は「できなかった日を吸収する枠」で、最初から予定を入れません
  5. 残った日数で総量を割ります。1回分は、ページの途中で切って構いません

ここで多くの家庭が想定より少ない日数しか残らないことに気づきます。たとえば月の学習可能日が14日しか取れず、教材が20回分あるなら、6回分は最初からやらない前提で組みます。全部やる前提を捨てるのが、割り直しの本体です。全部やる前提を残したまま日割りにすると、初週から遅れが発生し、遅れを取り戻す計画がまた破綻します。

1回分は「時間」ではなく「到達点」で決めてください。15分やる、という決め方では、進みが遅い日にいつまでも終わりが来ません。このページまで、この問題まで、と場所で決めておけば、早く終わった日は早く終わります。低学年で集中が切れやすい場合だけ、到達点に加えて上限の時間を決め、時間が来たら途中でも切り上げます。切り上げた続きは翌日の先頭に置き、予備日で吸収します。

難度が合っていないときは、量を減らす前に確かめる

量を減らしても手が止まる場合、原因は難度側にあります。難度のずれには、難しすぎる場合と易しすぎる場合の両方があり、どちらも続かない原因になります。

見分けるには、教材の書き込みを見ます。途中まで進んで特定の位置で止まっているなら、そこが難度の境目です。全体が薄く雑に埋まっているなら、易しすぎて集中する必要がない状態です。まったく手がついていないなら、難度ではなく着手前の問題、つまり量か時間の話に戻ります。

通信教育は学年に紐づいて配本されるため、学校の進度や子どもの現在地と一致しない期間が生じます。学校よりわずかに先を進む設計になっていることもあり、その場合、学校で習っていない内容を家庭で初めて扱うことになります。教科書の説明を受けていない状態で問題だけを解くのは、大人が思うより負荷が高い作業です。

対応の選択肢は3つあります。標準と発展のようなコース区分がある形式なら、まず区分を下げます。区分がない場合は、当面その単元を飛ばして学校の進度が追いつくのを待ちます。前の学年に戻る必要があるかどうかは、止まった単元の1つ手前が解けるかで判断します。手前も解けないなら、戻る範囲はもっと前にあります。算数のように単元が積み上がる教科では、戻る位置の特定を先にしないと、同じ場所で何度も止まります。特定の手順は算数のつまずきの見つけ方で扱っています。

戻る場合でも、必要なページだけを取り出して学年の表記を見せない形にすれば、子どもの抵抗はかなり下がります。

「終わりが見えない」状態を作らない

通信教育は構造的に終わりが見えにくい形式です。毎月新しい号が届くため、完了という状態が訪れません。学校のテストのような区切りもなく、やってもやらなくても次の号は同じように届きます。取り組みが積み上がっている実感を、家庭側で作る必要があります。

作る終わりは3つです。

  • 1回の終わり:今日はどこまでやれば終わりかを、始める前に決めます。始める前に決まっていないと、子どもは「どこまでやらされるか分からない作業」として構えます
  • 1週の終わり:週の決まったタイミングで残量を一緒に確認します。数えるのは、やった量ではなく残りの量です。減っていることが見えると次週が動きます
  • 1号の終わり:その号を終えたことを何らかの形で区切ります。提出物があるならそれが区切りになり、ない場合は保管場所を分けるだけでも区切りになります

記録は時間ではなく到達点で残します。カレンダーの日付欄にページ番号を書く程度で足ります。「何分やったか」の記録は、少ない日に自己評価を下げるだけで、次の行動につながりません。

終わりを消す最大の要因は、丸つけの滞りです。解いたが丸つけされていないページは、子どもから見て終わっていません。それが数日分たまると、机の上の「終わっていないもの」が増え続け、教材そのものが重く見えます。丸つけを保護者が担うなら、1回分の量は「その日のうちに丸つけまで終えられる量」に合わせてください。丸つけが追いつかない量は、子どもにとっても多すぎる量です。どこまで手を出し、どこから引くかの全体的な線引きは、家庭学習で保護者はどこまで関わるべきかで扱っています。

たまった教材は全部やらなくてよい

割り直しを始めるとき、多くの家庭で先に処理が必要になるのが、すでにたまっている分です。これを全部やらせようとすると、通常の月の量に過去分が上乗せされ、割り直した意味がなくなります。

処理の方針 向いている状況 子どもの受け止め方 注意点
最新号だけに戻し、過去分は箱にしまう たまりが2か月分以上ある。教材を見せると嫌がる 圧が消えるため再開しやすい 「やらなくていい」と伝える言葉を先に決めておく。曖昧にすると後で蒸し返しになる
過去分から必要な単元だけ抜き出す 苦手な単元が特定できている 目的が説明できるので抵抗が小さい 抜き出す作業は保護者側の手間になる。抜く基準を決めてから始める
過去分も含めて薄く消化する たまりが1か月以内。締切のある提出物が残っている 短期間なら耐えられる 今月分と並行すると量が倍になる。期限を切って行う
配本を止め、手持ちを消化する 家庭のペースより配本が速い状態が続いている 新しい教材が増えない安心感がある 休止や解約の締切、支払い済み分の扱い、端末や付録の扱いは契約により異なるため、会員ページや契約書面で確認する

決めにくいのは、支払った費用が頭に残るためです。すでに支払った分は、やってもやらなくても戻りません。戻らない費用を回収しようとして子どもに負荷をかけると、教材への拒否感が強まり、この先の月まで動かなくなります。判断は「これからの数か月をどう使うか」だけで行ってください。

箱にしまった過去分は、学年が変わったあとに復習用として使えることがあります。捨てにくい場合は、視界から外すところまでで十分です。机の周りに残っていると、それだけで終わっていない作業として機能します。

やめる判断をしてよい場合

通信教育を続けることが目的ではありません。次の条件が重なっているなら、やめる、あるいは休むという判断は妥当です。

  • 量、時間、難度、終わりの4点を1つずつ変えて、それぞれ2〜4週間試したうえで変化がない
  • 教材をめぐる衝突が繰り返し起きており、学習以外の場面にも影響が出ている
  • 学校の宿題が後回しになっている。家庭学習の優先順位としては、宿題が先です
  • 子どもが別の形式(対面や画面越しで人が付く形、自分で選んだ市販教材など)でなら取り組めそうな様子がある

逆に、まだやめないほうがよい場合もあります。始めてから1か月程度しか経っていない場合、時期的な要因(学期初め、行事の集中する時期、進級直後)が重なっている場合、そして何も変えないまま結果だけを見ている場合です。何も変えずにやめると、原因が家庭の運用側にあったのか教材側にあったのかが分からないまま次の契約に進むことになり、同じ状態が再現します。切り分けの手順は教材やサービスを乗り換えるかどうかの判断基準にまとめています。

やめると決めた場合、手続き面では締切の確認が要ります。次号の発送や次回の課金が確定するタイミングは形式によって異なり、月の途中で申し出ても翌月分が届くことがあります。支払い済み期間の扱い、端末や教具の返却の有無、再開時に契約が引き継がれるかどうかも、契約条件によって変わります。申し出る前に、契約書面と会員ページの記載を確認してください。

次にやること

今週のうちに行う作業は3つです。

  1. 手元の教材を「今月分」と「過去分」に物理的に分けます。過去分は箱や別の棚に移し、子どもの視界から外します
  2. 今月分の残量を、実際に学習に使える日数(予備日を引いた後の日数)で割ります。割り切れない分は、最初からやらない分として決めておきます
  3. 1回分を、丸つけまで含めてその日のうちに終えられる量に設定します。設定した量は、始める前に子どもに伝えます

この3つを2週間続けたうえで、まだ止まるようなら難度を疑います。そのときに見るのは手が止まった位置で、態度や集中力ではありません。

変更は必ず1つずつにしてください。量を減らし、時間を変え、コースも下げる、と同時に動かすと、次に同じ状態になったときに何を戻せばよいか分からなくなります。うまくいった変更が1つ見つかれば、それは翌年の教材選びでも使える判断材料になります。