比較ガイド
英検対策をオンラインで行う場合のサービスの選び方
英検対策のオンラインサービスは、一次の演習と二次の面接練習で必要なものが分かれます。会話中心型・演習中心型・添削付き教材配信型・個別指導型のどこが埋まりどこが埋まらないかを比較し、家庭が受け持つ範囲と申し込み前の確認項目までを判断の順番として並べています。
この記事について
- こんな方に向けています
- 子どもの英検受検に向けて、オンラインでの対策サービスを検討している保護者
- 読み終えたときの状態
- 級と目的に応じて必要な対策の型を判断し、候補を絞れる状態
英検の申し込みを済ませたあとで、家庭で何をすればよいのかが決まらないまま数週間が過ぎることがあります。手元にあるのは過去問の冊子と、前から続けているオンラインのレッスン。この2つが試験当日にどうつながるのかは、どちらの側からも説明されません。
対策サービスを探すと、どの説明にも「英検対応」と書かれています。ただ、その言葉が指す中身はそろっていません。面接形式の練習を何度も組んでくれるものもあれば、英語で話す時間があるだけのものもあります。書いた答案を見てもらえるかどうかは、募集ページを読んでも判断できないことが多いはずです。
分かれ目は、一次試験と二次試験で必要な準備がまったく違うところにあります。ここを分けないまま「英検対策」とひとまとめにすると、レッスンは続いているのに得点が動かない状態になります。以下では、一次と二次それぞれで何が足りなくなるのかを先に切り分け、そのうえでサービスの型ごとに埋まる部分と埋まらない部分を並べます。
一次と二次は別の科目として準備する
英検は級によって試験の構成が変わります。一次試験だけで完結する級があり、一次を通過した人が面接形式の二次試験に進む級があり、書く問題の比重が上がる段階もあります。受ける級がどの構成なのかは、申し込みの前に公式の案内で確認してください。ここで扱うのは構成そのものではなく、構成が変わると準備の性質がどう変わるかです。
一次で問われるのは、決められた時間の中で読む・聞く・書くを処理できるかどうかです。積み上げが効く代わりに、時間もかかります。語彙が足りないうちは何をやっても得点が動かず、逆に語彙が入っていれば設問の形式に慣れるだけで急に伸びることがあります。
二次は性質が違います。話す内容の高度さより、決まった流れの中で止まらずに進めるかどうかが結果を左右します。こちらは短い期間でも形をつくれます。ただし、一次の結果が分かってから二次までの間隔は長くありません。その限られた期間に何回練習の場を確保できるかが、サービス選びの実質的な条件になります。
準備の配分は、この違いから決めます。一次は受検を決めた時点から始め、二次は一次の手応えが見えた時点で相手を確保する。この2段構えを前提にすると、通年で続けるサービスが要るのか、直前に回数を寄せられるサービスが要るのかが見えてきます。
一次で足りなくなるのは語彙と設問形式への慣れです
一次で点が伸びないとき、原因はおおむね4つに分かれます。
- 語彙が足りない:読解でも聞き取りでも、知らない語の割合がある水準を超えると、前後からの推測が働かなくなります。反復で埋めるしかない部分で、レッスンの中で解決するものではありません
- 設問の形式に慣れていない:問題そのものは解けるのに、選択肢の切り方や設問の並びに戸惑って時間を使ってしまう状態です。過去形式を通しで数回解けば、短い期間で解消します
- 時間配分ができていない:最後まで到達せずに終わる。家庭で時間を計らずに解いている間は、この状態に気づけません
- 書く問題の型を知らない:内容が思いつかないのではなく、どういう順序で並べれば読み手に伝わるかを教わっていない場合がほとんどです。ここは自己採点ができないため、他人に見てもらう工程が要ります
このうち、会話中心のレッスンで直接埋まるのは聞き取りの一部だけです。話す時間を増やしても、選択肢を読み比べる速さは上がりません。逆に、書く問題は放置すると最後まで動きません。書きっぱなしにしていると、どこで減点されているのかが本人にも家庭にも分からないためです。
会話量を買うのか、読み書きの体系を買うのかという全体の比較は、オンライン英会話と英語塾は何が違うのかで扱っています。ここから先は、試験対策として何が要るかに絞ります。
二次で崩れるのは英語力よりも止まったときの対処です
面接形式の試験で起きるのは、たいてい次のどれかです。質問が聞き取れずに黙ってしまう。ひとことで答えて、その先が続かない。考えている間の沈黙が伸びる。声が小さくなって聞き返される。
どれも語彙や文法の量とは別の問題です。対処もほぼ決まっていて、聞き返す言い方を一つ覚えておく、答えの最初の一文を型として持っておく、考える時間をつくる言い方を用意しておく、といった準備で大半は防げます。ただし、これらは知識として説明されるだけでは身につきません。本番と同じ流れを、途中で止めずに最後まで通す練習が必要になります。
家庭でも質問役はできます。読み上げる原稿さえあれば、流れをなぞること自体は難しくありません。埋まらないのは2点です。1つは、子どもの答えが相手に伝わっているかどうかの判定。もう1つは、保護者が相手だと本番の緊張が再現されないことです。画面越しに知らない大人と話す形式に慣れているかどうかは、当日の落ち着きにそのまま出ます。この慣れをどう見るかは、オンライン個別指導が向いている子・向いていない子で扱っている観点と同じです。
編集部としては、二次対策では練習の回数より先に「一度も止めずに最後まで通したことがあるか」を確保することを勧めます。部分的な質疑応答をいくら重ねても、入室から退出までの順序を体験していなければ、当日その場で段取りを覚えることになります。
サービスの型ごとに、埋まる部分と埋まらない部分が変わる
英検対策をうたうオンラインのサービスは、大きく4つの型に分かれます。講師と話す時間が中心の会話中心型、問題演習と解説が中心の演習中心型、教材が定期的に届いて答案を送り返す添削付き教材配信型、担当者が一人ひとりの進度を見る個別指導型です。同じ「英検対応」でも、埋まる部分は次のように違います。
| 判断軸 | 会話中心型 | 演習中心型 | 添削付き教材配信型 | 個別指導型 |
|---|---|---|---|---|
| 一次の読解・聞き取り | 音に慣れる効果はあるが、設問形式の練習は別に要る | 中心的に扱う。過去形式の反復が組まれている | 教材の順に進む。取りこぼしは家庭側で気づく必要がある | 弱い分野を指定して集中させられる |
| 書く問題 | 扱わないことが多い | 模範解答との照合まで。個別の指摘は範囲外の場合がある | 添削が主な機能。返却までの日数と回数の上限が効いてくる | 担当者が見る。内容は担当者の経験に左右される |
| 二次(面接)の練習 | 話す抵抗は下がるが、入室から退出までを通す練習とは別 | 通しの練習は組み込まれないことが多い | 音声教材を使った自習が中心 | 本番形式で通せる。直前期に回数を寄せやすい |
| 進度を決めるのは誰か | 講師と本人。試験日から逆算されるとは限らない | あらかじめ決まった順序 | 配信のスケジュール | 相談して決める |
| 保護者の負担 | 予約と時間の確保 | 進み具合の確認 | 提出忘れが起きやすく、管理が要る | 小さい。その代わり費用は上がりやすい |
| 合う状況 | 話すことへの抵抗が強く、試験まで期間がある | 形式に慣れておらず、独学で解いている | 書く問題を放置している | 期間が短く、弱点がはっきりしている |
型を一つに決める必要はありません。実際には、一次までは演習中心型か添削付き教材配信型で形式に慣れ、二次が近づいたら面接を通せる相手を足す、という組み合わせになりやすいはずです。ただし、同時に3つ以上を動かすと、どれが効いているのかが分からなくなるうえ、提出物と予約の管理が家庭側で回らなくなります。
契約条件や無料体験の使い方など、英検に限らないオンライン学習サービス共通の確認事項は、小学生のオンライン学習サービスの選び方に整理しています。英検固有の確認項目は後ろにまとめました。
級が上がると、増える負担の種類が変わる
| 判断軸 | 一次だけの級を受ける段階 | 二次試験が加わる段階 | さらに上の級を目指す段階 |
|---|---|---|---|
| 学習の中心 | 語彙と設問形式への慣れ | 一次の型づくりと、面接を通す練習 | 内容を組み立てる力と、話題の背景知識 |
| 学校の学習との距離 | 学校で扱う範囲と重なる部分が多い | 学校より先に進む部分が出てくる | 学校の進度とは別立てで進めることになる |
| 家庭で見られる範囲 | 単語の確認、丸つけ、音読の相手 | 質問を読み上げる役までは可能。答えの評価は難しい | 内容が妥当かどうかの判定が難しくなる |
| 負担が増える場所 | 毎日の時間の確保 | 一次の結果が出てからの短期の段取り | 学習時間そのものと、他教科との配分 |
| サービスに求めるもの | 続く仕組みと、飽きさせない設計 | 面接練習の回数と、書く問題の添削 | 論理の組み立てへの指摘 |
級を1つ上げたときに増えるのは、勉強時間の量だけではありません。増えるのは負担の種類です。とくに二次試験が加わる段階で、家庭側の運用が変わります。一次の結果が出てから二次までの期間が短いため、その時期に予約を入れられるか、他の習い事と重ならないかを、申し込みの段階で見ておく必要があります。
上の級を目指す場合は、学校の学習と内容が離れていきます。宿題の延長線上では進まなくなるので、英検の学習時間を別枠で確保することになります。ここで他教科の時間を削り始めると、家庭内の調整が難しくなります。
受ける級を1つ下げる判断も、選択肢として持っておいてください。合格が見えている級から始めたほうが、次の級への学習が続きます。届くかどうか分からない級に長い期間をかけて不合格になると、英語そのものへの抵抗が残ることがあります。
家庭が受け持つ範囲を先に決める
サービスに何を求めるかは、家庭で回せる部分を引き算すると決まります。
家庭で回せるのは、単語の反復、時間を計って解かせること、丸つけ、音読の相手、提出物の期限管理あたりです。保護者に特別な英語力は要りません。
回しにくいのは、書いた答案の評価、面接の相手役として本番に近い緊張をつくること、どの分野が弱いかの特定、試験日からの逆算です。費用は、この後者に寄せたほうが無駄が出ません。前者まで含んだ手厚いプランは家庭の負担が軽くなりますが、その分だけ支払う範囲が広がります。
もう一つ、保護者が内容の指導まで抱えると、家庭内で衝突が起きやすくなります。丸つけと時間の確保までを家庭が持ち、内容への指摘は外に出す。この線引きのほうが続きます。始めてみて合わないと感じたときに、教材の問題なのか運用の問題なのかを切り分ける手順は、教材やサービスを乗り換えるかどうかの判断基準にまとめています。
申し込む前に確認する項目
英検対策として使う場合に、一般的なオンライン学習サービスの確認事項へ追加して聞いておく項目です。
- 教材を誰が用意するか。過去問や単語集を家庭で別に買う前提なのか、サービス側の教材だけで完結するのか。別に買う場合は、その費用と入手の手間が上乗せされます
- 書く問題の添削があるか。ある場合は、回数の上限、返却までの日数、返ってくるものが点数だけなのか書き直しの指示まで含むのかを確認します。返却が遅いと、次の答案を書くまでに間が空いて、指摘が次に生きません
- 面接練習が通し形式か。部分的な質疑応答ではなく、入室から退出までの流れを通すかどうか。含まれる回数と、直前期に回数を追加できるかどうかも聞いておきます
- 試験日から逆算した進め方が出てくるか。受検級と試験日を伝えたときに、そこから逆算した計画が返ってくるかどうかで、試験対策として組まれているのか、通常の英語指導に英検の名前が付いているだけなのかが分かります
- 受ける級を変えたときの扱い。途中で級を下げる、あるいは次の回に見送ると決めたときに、内容を組み替えられるか
- 担当者を替えられるか。二次対策は相手との相性が出やすく、替えられない前提だと途中で行き詰まります
- 契約面では、最低利用期間、休会の可否、試験が終わったあとに継続しない場合の手続きを確認します
無料体験がある場合は、その中で「いま受けるならどの級を勧めるか」と「そう考える理由」を聞いてみてください。子どもの現状を見ないまま一律の答えが返ってくるようなら、逆算して組む型のサービスではないと判断できます。
試験日から逆算して、いま決めること
順番は次のとおりです。
- 試験日までの週数を数える。ここを数字にしないと、間に合う計画なのかを判断できません
- 時間を計って、過去形式を一度通しで解かせる。採点までやると現在地が出ます。この工程を飛ばすと、どの型のサービスが要るのかが決まりません
- 結果を見て、語彙・設問形式・時間配分・書く問題のどれが原因かを切り分ける。原因によって選ぶ型が変わります
- 一次と二次のどちらに費用と時間を寄せるかを決める。一次の手応えが薄いなら、二次の相談は結果が出てからで構いません
- 候補を2つまでに絞り、体験や相談の場で上の確認項目を聞く
よくある詰まりどころ
過去問を解かせようとすると嫌がる
いきなり通しで解かせると、分量に圧倒されて拒否されることがあります。その場合は、大問を1つだけ時間を計って解く形から始めてください。全体の分量は保護者が把握していれば足ります。
オンライン英会話を続けているのに、英検の点が動かない
会話のレッスンは、設問形式への慣れや書く問題の型を扱いません。続ける価値は別にありますが、試験の得点を動かす目的なら、演習と添削を別に足す必要があります。
一次に受かってから、慌てて二次の練習先を探した
二次までの期間は限られています。一次の受検が終わった時点で、通しの練習ができる相手を仮に押さえておくと、結果が出てからの数日を探し物に使わずに済みます。
家で面接の練習をすると親子でけんかになる
答えの良し悪しを保護者が判定しようとすると、たいていそうなります。家庭では質問を読み上げる役に徹し、評価は外に出す。この分担にすると、練習そのものは続きます。